タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
それともあたしのこと、タヌキの仲間だと勘違いしてるのかな?


タヌキの同族に見られちゃったのは、少しばかりショック。


でも助けてくれるんだから文句は言えな・・・


――ズル

え?


――ズルズル・・・

なに?


――ズルズルズルー!

「ちょっと!? きゃああぁ!」


なんと、タヌキたちはワナを咥えて、あたしの体をズルズル引っ張って移動し始めた。


やっぱり食べるつもりなの!? 食糧庫に移動しているのかも!?


いやあぁ! よく見て! ほら仲間! あたし実はタヌキと親戚なんですー!


誰か助けてーーー!!


一向にスピードを緩める気配もなく、ズルズルズルっと順調にタヌキはあたしを運搬していく。


痛い痛い! 地面にこすれて、全身が痛いー! 


どれだけ引きずられたか、体中の痛みがもう限界に達した頃。


突然、タヌキの移動が止まった。


つ、着いたの? 食糧庫についに到着してしまった?


ああぁ、到着というより、ここがあたしの人生の終着・・・

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