タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あたしの叫び声に、ブランがこちらを振り返る。


「あいつを倒さなきゃ、人もサメも狂い続けるわ! あたしが王子を押さえている間に、早く!」


ブランがうなづき、もう一度変化した。


――ボンッ! という音と共に、白い煙が充満する。


大蛇と戦ったときは、ブランは雄々しくて勇猛な大鷲と大虎だった。


今回はどんな生き物に変化するの!?


白煙が風に吹かれて散って行き、変化したブランの姿が露わになる。


あたしは目を輝かせ、その姿を確認した。


すごいわブラン! なんて見事な・・・

見事、な・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


トカゲ?


それ・・・トカゲ??


床にへばりつくような、低くて小さな体。全長せいぜい30センチ。


細長いシッポと、ペタペタとした四肢。


間違いなくトカゲだわ。うん、間違いなく。


・・・・・・・・・・・・。


なに考えてんのブランー!!?


トカゲになってどうすんのよ! トカゲになって!


真正面から見た、離れたまんまる目がちょっと可愛いけど!


「そんな姿でどうやって戦うつも・・・!」


――バササッ!


ブラントカゲの背に、突然コウモリのような翼が生えて羽ばたきを始めた。

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