タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あれよという間に飛び上り、セイレーンに向かって飛翔する。


へ!? は、羽ぇ!? な、なんでトカゲが飛べるわけー!?


小さな体はあっという間にセイレーンに接近した。


そして空中でビタリと停止し、ブラントカゲは素早く息を吸い込む。


お腹が破裂するかと思うほどに大きく膨れ上がり、そして・・・


――ブオォォォ・・・ッ!!


爆炎。金色に輝くほどの、透き通るような高熱業火。


灼熱の炎の息を、セイレーンに向かって盛大に吹き付けた!


・・・そうか! トカゲはトカゲでも、あれはサラマンダー!


火トカゲだ!

伝説の妖魔に対抗して、こっちも伝説の精霊ってわけね!?


さすがは金の精霊のタヌキ! 伝説の白騎士だ! どうだ思い知ったか! 男好き!


「ギイィィィーーーッ!!」


セイレーンは、巨大な炎に包まれて火だるまになった。


信じられないほど耳障りな悲鳴を上げ、身もだえている。


「うっわー! 気持ち悪い音ー!!」


思わずこっちも悲鳴を上げるほどの、すさまじい不快音!


火だるまのセイレーンは、たまらず身を翻して海に飛び込んだ。


やったー! 妖魔退散!


これできっとサメもおとなしくなってくれるはず!

と思ったとたんに・・・・・・


――ドーンッ!


と再びサメが、前にも増して強烈な体当たりを船にかまし始めた。

な、なんでえぇ!?

< 193 / 438 >

この作品をシェア

pagetop