タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
ギリギリとせめぎ合う剣と剣。


顔面蒼白な王子が必死に、動く遺体と剣を交えている。


それを見ているうちに、あたしの頭は少しずつ正常に動き始めた。


遺体。遺体。動く遺体・・・。


・・・・・・・・・・・・。


つまり、これってゾンビーーーーー!!?


「男爵夫人しっかりして! 正気に返ってー!!」


「たったいま返ったーー!!」


叫び合ったあたしと王子は、悲鳴を上げながら同時に逃げ出した。


そしてその正面から、大挙してゾンビが押し寄せてくるのを見てまた悲鳴を上げる。


いやあぁぁ! ゾンビの軍団!


間違いなく死んでるはずなのに、元気に動き回ってるその不条理さが怖いー!


生前どんだけ勤勉な兵士だったか知らないけど、腐ってまで動かなくてもいいってー!


前後をゾンビに挟まれて、あたしたちは横の通路に飛び込んだ。


崩れて足場の悪い通路を、懸命に走って逃げる。


すると進行方向からもゾンビが剣を構えつつ、集団で迫ってくるのが見えた。


そんな! 追い詰められた! もう逃げ場がない!

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