タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
爆発に巻き込まれて、かなりのゾンビたちがガレキの下敷きになる。


「きゃああ!?」「うわあぁっ!?」


飛び散るガレキの中で、両腕で頭をかばいながらあたしと王子は悲鳴を上げた。


あ、あぶ・・・危な! ・・・今度はなに!? 


セイレーンに、キメラに、ハーピーに、ゾンビときて・・・


次はゴーレムとか!? 壁を粉砕しちゃうくらい巨大なやつか!?


パラパラと壁の破片が床に落ち、宙に舞う粉塵が視界を奪う。


ゲホゴホと咳をしながら、手をパタパタと動かして状況を見定めた。


どんな魔物にしろ、逃げ場のない場所に穴が開いたんだ。


かえって好都合! 生き延びるチャンスの到来だ!


そいつのスキを突けば、横をすり抜けられるかもしれない!


視界が徐々に晴れてきた。


あたしは穴の方向を睨むようにタイミングを計る。


集中・・・集中! 一瞬の動きが生死を左右するんだから。


良く見て! よく、よーーーく・・・

見・・・・・・


・・・・・・・・・・・・。


あれ?

誰もいない?


薄れた粉塵の中を、どれほど目を凝らして見ても誰もいない。


ほんとに誰もいないよ??


てっきり魔物のせいだと思ったけど、自然に壊れたのかな? この壁。

< 221 / 438 >

この作品をシェア

pagetop