タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
それならそれで、なお好都合だ。


「あの、男爵夫人・・・」


スエルツ王子が、今にも穴をくぐろうとしているあたしの腕をトントン叩いた。


「なにノンキな声出してんのよ王子! さあ、この穴から急いで逃げよう!」


「その前に、そこのそれ、見てよ・・・」


王子はなんともいえない微妙な顔をしながら、あたしの足元を指さしている。


そこのそれ!? どこのどれよ!?


言われた通りにバッと視線を下ろして、あたしはビックリ。


こ・・・・・・


小人!?


あ、あたしの足元に、小人が立っている!?


うわ危なかった! あのまま動いてたら蹴りを入れちゃうとこだった!


あたしのヒザの高さくらいしかない身長。


もじゃもじゃのヒゲに覆われた顔。


ピーンと大きく尖った両耳。


身長からは考えられないほど大きな手足。


その小人が肩にハンマーをかついで、ノ~ンビリとした様子であたしを見上げている。


あたしは小人と、思わず見つめ合ってしまった。


・・・えっと、これって・・・。


魔物? 魔物なのかな?


どう見ても人類じゃなさそうだし、たぶん、魔物だよね?


でもあんまり、怖くない、かも。どっちかっていうと癒し系?


・・・顔はオジサンっぽいけど。

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