タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「あんれまぁ。なーんか匂うと思ったら、やっぱり人間だったかぁ?」


そのオジサン小人が、外見通りのノンビリした声を出した。


ヒョイヒョイと小首を左右に傾げながら、あたしに話しかけてくる。


「人間が消えてからずいぶんたつが、なんだぁ? まーたお前ら、産まれ始めたんけぇ?」


あたしは目をパチパチさせて、しばらく思案してしまう。


・・・ど、どう対応するべきなんだろう?


なんとも独特なこの状況。もはやあたし、事態についていけてません。


「産まれるって、あたし、ここの出身じゃないけど」


考えたすえに、とりあえず質問に答えることにした。


それ以外に、正直どうすればいいのかもう分からん。


「んー? じゃあ、よそから来たんけぇ?」


「・・・うん。カメリア王国から」


「あー、ほいほい。金の精霊のぉ、タヌキがいるトコけぇ?」


「え!? オジサン、タヌキ山の一族のこと知ってるの!?」


「おんなじ土中の精霊同士だからなぁ」


精霊同士? じゃあこのオジサンも精霊なんだ。


土の精霊ってことは・・・。


「おらぁ、ノームだ。おらたちの一族は、昔からこの辺の地中が住みかだぁよ」


そう言ってオジサン小人は、カラカラと笑った。

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