タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
――ギャアアーーー!!


ノンキな笑顔を見せているオジサンの向こう側から、またゾンビの集団が奇声を上げながら襲い掛かってきた。


うわ! また来やがった腐乱死体!


この城は完全にゾンビに占領されてしまっているんだ!


「あーもー、うるっせーなぁー」


オジサンはめんどくさそうに言って、肩にかついだハンマーを振り上げる。


小人の体には不釣り合いな大きいハンマーを、軽々と一回転させた。


そのままストンと地面に降ろす。


――ドオォォーーーン・・・!!


とたんに足元に走った大きな衝撃に耐えられず、あたしと王子は引っくり返った。


な、なにー!? なにが起こったー!?


――ビシ・・・ビシビシ!


石床に、クモの巣を張り巡らすような何本ものヒビ割れができる。


それらが意志を持っているかのように、ゾンビの集団に向かって一直線に突っ走った。


砕かれた石床が地走りの勢いに飲み込まれ、ゴォッ! と浮き上がる。


その無数の石の固まりが、衝撃波に乗って周囲に飛び散り、凶器となってゾンビ軍団に襲い掛かった。


――ドドドドドーーーーー・・・!!


床の破壊される爆音。空間を揺るがす振動。


あたしは地べたに突っ伏して、夢中で頭を手でガードしながら両目をギュッと閉じる。


巻き込まれる! ぜったい巻き添えくらうー!


声にならない悲鳴をあげて、嵐のような状況下で身をひたすら縮めてた。


そして・・・・・・

ほんの一瞬で、辺りはウソのように静まり返る。

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