タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
諦めきれずに、あたしはオジサンに聞いた。


「タヌキは見なかった!? 白いタヌキは!?」


「はぁぁ? 白いタヌキだぁ?」


「男爵夫人、何言ってるの? 大丈夫?」


事情を知らない王子が、眉を寄せてあたしの顔を覗き込む。


王子に答える余裕も無く、食い入るようにオジサンの返事を待った。


オジサンは、あたしの必死の表情をじっと見ている。


「おめえ、タヌキの一族と知り合いなんけぇ?」


「うん! おタヌキ王のことも知ってる! オジサンも知ってるんでしょ!?」


「会ったことはねえけんどもなぁ」


「あたし、嫁なの! その一族の!」


「ほーほー。異種族結婚けぇ?」


「ちょ、ちょっとちょっと? ふたりの会話の内容がぜんぜん理解できないのって、ボクのせいじゃないよね?」


王子があたしとオジサンの顔を交互に見比べる。


「オジサン、ブランは・・・!」


そう叫びながらあたしは立ち上がろうとして、勢い余ってドサッと転んでしまった。


急いでもう一回立ち上がろうとして、クラリと目まいがしてまた転ぶ。


あ・・・あれ・・・? 立て・・・ない?


なんだか、体がフラフラ揺れている。そういえば、ずっと頭がクラついてたけど・・・。

< 226 / 438 >

この作品をシェア

pagetop