タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
思えば短く、虚しい人生だったなぁ。


生まれた時からサバイバルで、まさか死ぬ時まで、こんなすごいサバイバルを体験するなんて。


短いわりに、やたらと濃い人生な気がする。なのに・・・


産まれてきて良かったって、思えたこと・・・・・・


なかったな。一度も。


遠く掠れていく意識の中、あたしはボンヤリと自分の人生を思い出していた。


食べていくのがやっとの、施設での生活。


子どもの頃にバカだんなの屋敷に引き取られてからは、ボロ服を着て、お腹を空かせながらずっと働き詰めで。


他にはなにひとつ、思い出なんか持ってない。


それが、こんなのが、あたしの人生なんだなぁ。


なにも無い。なあーんにも、無い。


無いどころか、おまけに小屋でバカだんなに襲われて。


思い切りぶん殴って、逃げ出して。


山に逃げ込んで、そして・・・


・・・・・・・・・・・・。


あたしの意識の中に、ほんのわずかに光が灯った。


そしてあたしは・・・


タヌキたちに、出会った・・・・・・。

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