タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あたしは苦笑いしながら言った。


「うん。すごく見たい」

「そこまで頼まれたら、しかたないなぁ! じゃあ特別に見せてあげるよ!」


見せてもらったペンダントの中には、精巧な肖像画がはめ込まれていた。


片面は少し古い、見たことのない女性の絵。


もう片面はまだ新しいアザレア姫の絵。


まるで生きているような、見事な出来栄えの肖像画だった。


「母上とアザレア姫だよ。すごいでしょ? 国一番の画家に描かせたんだ」


「ほんとだ。すごいね」


「それでもボクのアザレア姫の美しさは、とても描ききれないけどね!」


王子は顔面がいまにも崩れちゃいそうなほど、ニコニコと笑っている。


その、ものすごく幸せそうな笑顔を見て、あたしはふと疑問に思う。


王子って・・・アザレア姫をだまして利用したんじゃなかったっけか?


そのわりには、えらく気合いの入ったノロケ具合ですけど・・・。


「ねえ王子、聞いてもいい? 王子って・・・アザレア姫のこと、実はどう思ってるの?」


スエルツ王子はキョトンとして、あたしを見ている。


その顔がみるみる熟した果物のように真っ赤っかに染まった。


「どうって・・・そりゃ決まってるじゃないか! あんなに必死に結婚を申し込んだぐらいなんだから!」


そう叫んで、恥ずかしそうに身をよじる。

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