タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
・・・そう、いうことか。


あたしはペンダントに何度もキスする王子を見ながら納得した。


この結婚が政略結婚であったことは、事実なわけだ。


でも幸運にも王子は、その相手の姫を心から好きになってしまった。


自分の王子としての利益も、本気の恋も、偶然にも両方手に入れちゃった、ラッキー!

と、そういうことか。


「そういうことって、あるのねぇ」


「なに他人事みたいに言ってるの? 男爵夫妻だってそうなんでしょ?」


「え?」


「航海中に、男爵にもこの話をしたんだ。そしたら男爵、言ってたよ?」


「・・・なんて?」


「自分もまったく同じだって」


「え!?」


「決められたしきたりの結婚だったけど、その相手がミアンだったから、すごく自分は幸せだって言ってた」


あたしは思いもよらない言葉に面食らってしまった。


あたしだったから、すごく自分は幸せ? そう言っていた? ブランが?


「・・・それって彼が、あたしを、好きってこと・・・?」


「うん。間違いなく彼はそう言ってたよ。好きだって」


「・・・・・・・・・・・・」


色んなことが、頭の中をグルグル駆け巡った。


今までのあたしとブランの間の出来事。


そして交わされた会話。


ふたりの間に渦巻いた感情。


あの時は分からなかった事が、意味が、今はひとつひとつ素直に心の中に落ち着いていく。


ああ・・・やっと、やっと分かった。


それらは全て

ブランとあたしが、お互いを想い合っていたからこそなんだ・・・。

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