タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「男爵夫人・・・」

「・・・・・・」

「泣いてるの・・・?」


見えなかっただけだ。


あったんだ。やっぱりそこに、確かにあったんだ。


あったのに・・・。


利用してるとか、利用されたとか。


しょせんタヌキだとか、しょせん人だとか。


あたしは、理由をつけていただけだ。


本当は、心のどこかで本当の愛を信じることが怖かっただけ。


だってそんなもの、まさか奴隷の自分が手に入れられるはずがないと思っていたから。


だから・・・否定したかった。


否定して安心したかった。傷付く前に、拒否して遠ざけたかった。


タヌキたちを裏切ってまで奴隷身分に縛られる自分を否定しようとして・・・


一番それに縛られていたのは・・・


この、あたし自身だ・・・・・・。


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