タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「男爵ね、悩んでたみたい。うまく自分の気持ちが伝わらないって」


「・・・・・・」


「今度こそ自分の本音をぶつけるつもりだって言ってたよ」


本音って、それで船室であたしを押し倒したの?


もう、ブランってば直情的すぎるんだよ。


いくらなんでもあれは急すぎるよ。


それに・・・

あたしだってバカだんなとの事さえなければ、もう少し違って対応できたのに。


なんでだろう。

なんでこんなに、あたしたちって・・・


「うまく・・・いかないの・・・」

「・・・・・・」

「すれ違ってばかりなの。こんなに大切に思っているのに・・・」


泣きながら、カップの中身をコクンと飲んだ。


赤い液体が涙でボンヤリと霞んで見える。


そんなあたしを穏やかに見つめている王子が、優しい声で言った。


「それもしかたないんだよ。だって・・・」

「・・・・・・」

「だってボクたちみんな、初めての恋だから・・・」

< 242 / 438 >

この作品をシェア

pagetop