タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
初めての・・・・・・

恋・・・・・・。


その言葉が痛いほど胸に沁みる。


体の中に深々と沁み渡って、あたしの全てを染めていく。


恋をすることができた喜び。


ブランと出会えた幸せ。


自分自身に感じる、複雑な劣等感。


うまくいかない、もどかしさ。その切なさ。


喜びや幸せや、それ以外のたくさんの感情。


それらの全てがあたしをとらえて、振り回す。


だから、泣けて泣けて・・・


涙がとまらない・・・・・・。


こんな不思議な気持ちが世界に存在していることを


あたしは初めて知って、そしてただ・・・


ただ、とまどうばかりなの・・・・・・。


「ボク、絶対に無事にアザレア姫の元へ帰るんだ。夫人も絶対に男爵と再会しようね」


「・・・うん」


「一緒にがんばろう。がんばって、幸せになろうよ」


「うん」


切なくうずく胸を抱えて、あたしはうなづいた。


涙と薬と鼻水と同時にすすり上げながら。


うん。あたしがんばる。そして絶対ブランと再会する。


全ては、それからだ。そこからまた始まる。


あたしは涙をゴシゴシ拭いて、王子に話しかけた。


「ねぇ王子、王子は自分のこと、出来が悪いと思ってる?」


「うん。だってそれが事実だし」


「でもそれって事実かもしれないけど、真実じゃないよ」

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