タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
宝石の大親分の存在なんて知ったら、そりゃもう、気も狂わんばかりに欲しがるだろう。


「その目ん玉を地上に隠しちまったんだぁ。その張本人が、人間の王だぁよ」


「それがマスコール王族のご先祖さまなの?」


「なんでも願いが叶う、特別な力を持った宝石だって、人間にゃ伝わってたみてえだな」


「願いが叶う? それ本当?」


「そーんな都合のいいもん、あるわけねえよぉ。人間たちは信じてたみてえだけどもな」


王家特有の、尾ひれのついた自慢話。


それが年月を経て、王家にとっては真実になってしまったんだろう。


もとが竜の目玉なんて貴重な物なら、いかにも真実味がありそうだし。


「じっさい、地竜にとって目玉がねえってことは、大問題なんだぁ。力が封印されっちまう」


「そ、そうなの?」


「だから地上に目玉を隠されてた間は、おとなしく眠ってたんだぁ」


「それがなんだっていま、こうして大暴れしてるの?」


振動はますます激しくなるばかり。天井からバラバラと音を立てて小石が降ってくる。


だ、大丈夫なの!? これ以上振動が大きくなったら・・・


この洞窟、きっと崩壊する! あたしたち全員、生き埋めだわ!


青ざめるあたしと王子に向かって、オジサンは振動に合わせて飛び跳ねながら、あっさり答えた。


「そりゃおめえ、おらたちが竜の目ん玉を持ってるからだぁ」

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