タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
・・・・・・やがて、全てが引くように静かになっていって・・・


カラコロと、小さな石が地面を転がる音だけが、ほんのわずかに聞こえるようになり。


辺りは静まり返った。


おさ・・・まっ、た・・・?


あたしは地面に這いつくばりながら、そっと両目を開けた。


周りがどんな状況になっているやら、怖くてしかたない。


ソロリソロリと頭を上げ、ゆっくりと確認する。


スエルツ王子とオルマさんの倒れている姿が見えた。


ちゃんと身動きしてる。ふたりとも生きてる。・・・あぁ、良かった!


洞窟の中は、けっこうスゴイ有り様になっていた。


それなりに暮らしやすく整えられていた内部が、まるで地すべりにでも襲われたようだ。


大小の岩石に埋め尽くされ、以前の状態は全く留めていない。


その上にノームたちが気抜けしたように立っている。


こんな惨状ではあるけれど、ノームたちもどうやら全員無事みたい。


倒れている竜の顔のすぐそばに、小さな白い姿を見つけた。


・・・・・・ブラン!


ピクリとも動く気配がなく、あたしは慌ててブランに駆け寄った。


「ブラン! しっかりして!」


生きている。体は温かかった。


でも意識がないし、タヌキの姿に戻ってしまっている。


ブランを抱き上げ、あたしは叫んだ。

< 268 / 438 >

この作品をシェア

pagetop