タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
グッタリとして動かない体をあたしはキュッと抱きしめ、頬を寄せる。


鼓動を感じる。


あの夜の山で一晩中聞いていた、ブランの確かな鼓動。


ブランの白く輝く美しい毛並みに、あたしの涙がポタポタ落ちていく。


持て余す、たまらないこの気持ち。


膨れ上がる、身を焦がすほどの感情。


泣いても泣いても、鎮まるどころか泉のように湧き出てくる。


押さえの利かない、初めての・・・あたしの恋。


ブラン、好き。

あたし、こんなにこんなに、あなたのこと・・・


好き。好き。


大好き。


この気持ちをあなたに面と向かって伝えたい。


だからお願い・・・・・・


目を覚ましてよ・・・・・・。


泣き続けるあたしに、王子が遠慮がちに話しかけてくる。


「あの、男爵夫人、その・・・」


「・・・ごめん。今はちょっと、詳しく説明する余裕がないの・・・」

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