タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
バッとミノムシの体が開いた。


そしてバサバサ羽音を立てて、一斉にトンネル内を飛び回り始める。


コ、コウモリだー! すごい数ー!


ぎょええ! き、気持ち悪い!


あの悪魔的な黒い羽の形が、視界を埋め尽くしてる!


「ギィ! ヂッ、ヂイィーー!」


これってコウモリの声!? まるで鳥やネズミが悲鳴あげてるみたい!


コウモリの大群の中に、トロッコは容赦なく突っ込んでいく。


羽やら爪やら体やら頭やらが、連続でぶつかりまくる。


痛い痛い! 当たる当たる~!


うわうわ、間近で見ちゃったコウモリの顔のドアップ!


デカ耳と、離れた目と、牙が魔物みたいで普通に怖い!


「来ないでー! 寄らないでー!」


片手でブランを抱きしめ、片手でブンブン振り払う。


寄るなと言われても、コウモリからみればこっちの方が侵入者なんだけど。


でもあたしたち、トロッコさんの進行に従うよりほかないの。


お願いだから、あんたら自力で避けてー!


コウモリの群れの中を、猛スピードで駆け抜ける。


なんとか無事に通り抜けられたようでホッとした。


良かった・・・。吸血コウモリじゃなかったみたい。


あの数に襲われて血を吸われてたら、今頃全身が干からびてるところだった。


・・・と胸をなで下ろしていると・・・


「ギィー! ヂイィーー!」


うわあぁん! まただーー!

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