タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「どういうこと? あんたいったい・・・」


「オルマも無事に戻って来たのか?」


「・・・え?」


「あの女も一緒に戻って来たのかと聞いている」


あたしは、うなづいた。


それを見たセルディオ王子が、冷めた表情でフンッと鼻から息を出す。


「そんなことはどうでもいい! これは・・・いったい、どういうつもりだ!」


ブランが叫び、タヌキの死体の山へと駆け寄った。


そばに立っている兵士を「そこをどけ!」と押しのける。


そして世にも悲惨な顔で、変わり果てた仲間の姿を見下ろした。


人間につまみ上げられ、物のように放り投げられ


無造作に積み重ねられ、グニャリと歪んだ・・・


大切な、愛する仲間の死体の山を。


「あ・・・・・・」


ブランはうめき声をだし、フラフラと死体の山の周りを歩き出す。


必死の形相で片っ端から確認していた。


誰か、だれか、生きてはいまいか? と。

生き残ってくれてはいまいか? と。


そんな一縷の望みにすがるブランの目に、次々と現実が映し出されていく。


むごすぎる現実が・・・彼の目を、そして心を傷つけていく。

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