タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「あ・・・・・・」

もう耐えきれぬように、ブランはガクリと両膝から崩れ落ちた。


手が、土をギリギリと握りしめる。


両肩が、まるで痙攣するように大きく上下して、そして・・・


耳をふさぎたくなるほどの哀しい声を上げ・・・慟哭した。


「うあああぁぁぁーーーーー!!」


その悲鳴と共に、あたしも泣き崩れる。


目の前の現実を拒否するように首を振るたび、次々と涙が零れ落ちていく。


みんなぁ・・・タヌキの、みんな・・・。


気が優しくて、穏やかで・・・。


あたしを初めて『仲間だ』と認めてくれた存在。


温かくて優しい、最高の笑顔。


ここにあるのは、その抜け殻。


命という、最も輝ける価値あるものが抜け落ちた・・・


いいえ。


無残に奪われてしまったもの。


なのに。


理不尽にそれを奪った人間が、一番欲望をむき出しにするものだけは。


金に輝く、貴重な毛皮だけは。


無情にもいまだ、日の光を浴びて輝き続けていた・・・。


「ど・・・して・・・?」


涙でとても声が出ない。


それでも、なんとかあたしは、セルディオ王子に問いかけた。

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