タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「そんな男は放っておけ。それにしても奇妙なやつらだ。なにをそんなに憤っているのか」


セルディオ王子の怪訝そうな声に、あたしは唇を強く噛みしめた。


行って・・・。さっさとここから、いなくなって。


顔も見たくない。

同じ空気を吸いたくない。


あんたたちに、この山の空気を吸ってほしくない。


さっさと消えてよぉぉ!!


「あぁ・・・そういえば・・・」


王子が不意に立ち止まる。


なによ!? まだなにかあるっていうの!?


「お前が執着していた下賜の件だが」


クルリとこちらへ向き直り、王子は無表情で言った。


「お望み通り、お前の奴隷身分を解消してやる。それがお前の望みだったな?」


・・・・・・・・・・・・!!


ギクリと息が、止まった。


体に冷たいものが駆け抜ける。


ブランが王子の言葉に敏感に反応し、苦しそうな声で問いただした。


「待て・・・それは・・・どういう意味だ?」

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