タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「金脈の存在を教えてくれた礼だ。お前たちはこれから好きに生きればいい」


王子はそう言い捨て、兵士を連れて引き揚げていった。


彼らの望みの、たくさんのタヌキの死体と共に。


・・・・・・・・・・・・。


殺戮と暴露と、衝撃。


それらが過ぎ去り、山は嘘のように静まり返った。


吹き渡る風と、静寂。そして。


そして、あとには・・・・・・。


あたしと、ブラン。


踏み荒らされた地に、ただ、ふたり。


お互いの存在を、ヒリヒリと痛むほどに肌で感じていた。


「ミアン」


薄気味の悪い沈黙を破り、ブランがあたしの名を呼ぶ。


あたしはビクッと怯えながら、恐る恐るブランを見た。


「本当なのか?」

「・・・・・・・・・・・・」

「本当に、お前は・・・?」


しゃべったのか?

下賜を望んだのか?


そう続くはずの言葉を、ブランは飲みこむ。


あたしには、彼が本当に言いたくて、でも言えずにいる言葉が手に取るように理解できた。


『本当にお前は、オレたちを裏切っていたのか?』

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