タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「急ごうオジサン! ほらグスグスしないで!」


「おめえ・・・自分が今までさんざんグズグスして引っ張っ・・・」


「時間がないの! 早く行こう!」


地竜を押さえるためには、竜神王の目が絶対に必要だ。


オルマさんはおそらく城にいるはず。


彼女の真意は分からないけれど、急がなければならない。


でも山から城までは結構な距離なのに、移動手段が無いんだもん。


お金がないから、町で馬車に乗るわけにもいかないし。


てか、小人のオジサン同伴で馬車なんて乗ったらパニックが起きる。


もうこれは、どこまでも自分の脚力頼みだ。走る!


走って走って、限界まで突っ走るぞ!


――キュイィィーーー!!


「うわ、なに!?」


突然オジサンが口から大きな怪音を発した。


やたらと高音で、聞いてるとなんだか落ち着かなくなる音が夜山の空に響き渡る。


――ガサガサガサ・・・


繁みが揺れ、葉のこすれる音が近くから聞こえた。


闇にまぎれてて大きな一匹の動物が、木々の合間からヌッと姿を現す。


その姿を見て、あたしは心底度胆を抜かされた。


それは夜目にも白く輝くような・・・


心奪われるほどに美しい、ユニコーンだった。

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