タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あたしが会話に割り込み、王子に説明する。


「竜神王の目を、どうやらオルマさんが盗んだらしいの!」


「・・・はあぁ!? なにそれ意味が分からないよ!」


王子は階段に向かって走り出した。


「ちょっと待って! 今そっちに行・・・」


――ズズズズ・・・・・・


不意に、足元から微妙な振動が伝わって来た。


王子が階段の手すりにつかまり、不安そうな顔で立ち止まる。


これは・・・この、嫌になるほど身に覚えのある振動は・・・。


すぐにはっきりと体感できるほどに、城全体が揺れ出した。


――ズズズ・・・ガタガタガタ・・・


装飾品の壺や、壁の絵の額が揺れて音を立てる。


不安が倍増し、揺れも音も倍増する。


巨大な騎士の像もグラグラ左右に揺れ始めた。


――ゴゴゴゴ・・・・・・!


もはや、地鳴りのような音。


壺が床に落ち、割れる音があちこちから聞こえる。


王子が懸命に手すりにしがみ付いて揺れに耐える。


ユニコーンがよろけた。あたしもオジサンも必死になって、たてがみにしがみ付く。


騎士像がついに横倒しに倒れ、像の首と胴が真っ二つになった。

そして・・・・・・


――ドオォォォーーーーーン!!!


城が・・・破壊された。

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