タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
この世の終わりのような轟音。


壁も、屋根も、なにもかも吹っ飛び、人が宙を飛んだ。


あたしもオジサンもユニコーンも、成すすべもなく吹っ飛ばされる。


体をしたたかに床に叩き付けられ、目を剥いた。


背中を強打したせいか、激痛と衝撃で一瞬呼吸が止まる。


あたしの視界を奪う、もうもうとした粉塵。


そして雨あられのように降り注ぐ、大量のガレキと化して崩れる城壁。


爆音、轟音、破壊音。


充満する粉塵に咳き込みながら、あたしは必死に事態を把握しようとする。


やがて、濃霧のように立ち込める粉塵が晴れていき・・・。


灰色の煙の中、次第に山のような巨体が姿を現す。


そしてあたしは絶望に襲われた。


・・・・・・間に合わなかった。来て、しまったんだ。


輝くウロコに身を包み、怒りで真っ赤に燃えた片目をさらした、地竜がいた。


地底で見た時より、もっと激怒している。


一度は近づいたと思った自分の目を再び持ち去られて、もう怒りの限界を超えたんだろう。


完全に我を忘れて、竜というより悪魔のようになってしまっている。


こんな厄介なもの、いったいどうすれば・・・?

< 331 / 438 >

この作品をシェア

pagetop