タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「オジサン、王子、ユニコーン。どこ・・・?」


這いつくばりながらみんなの姿を探した。


まさかガレキに潰されてしまったんじゃ? 階段から吹っ飛ぶ王子の姿は、チラッと見えたけど。


改めて周囲を見渡すと、城は全壊してはいなかった。


なんとか三分の一程度の破壊にとどまっている。不幸中の幸いだ。


立ち上がろうとして、手がぬるりと滑った。


・・・・・・血。手の平が真っ赤に濡れている。


これ、あたしの血? 見ればあちこちから出血しているらしい。


さすがに無傷じゃ済まなかったか・・・。


「ねえちゃん! 生きてるかあぁーー!?」


ノームのオジサンの声が聞こえた。


この状況でその声を聞けたことが、すごくすごく嬉しく思えた。


オジサンの小さな体が、ガレキの合間をすり抜けるように近づいて来る。


「ねえちゃん! 良かった生きてたか!」


「オジサンも・・・・・・」


「おらは体が小せぇから、小回りが利くんだぁよ!」


――ズゥゥゥ・・・ン!


地竜が足を踏み鳴らした。当然、激しい振動が起こる。


再びガラガラと城壁が崩れる音が聞こえて来た。


せっかく破壊されずに残った部分も、これじゃすぐに・・・。

なんとかしないと!

< 332 / 438 >

この作品をシェア

pagetop