タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
とにかく竜神王の目を探して、返さないと!


返して怒りを鎮めてもらえるかどうかは、この激怒っぷりからして定かじゃないけど!


やれることは、やる!

指をくわえて滅亡を待つだけなんて、絶対にゴメンだ!


「オジサン、地の精霊でしょ!? 竜神王の目の気配が読めない!?」


「おお! 地竜と目ん玉が共鳴してるだぁよ! どうやらあそこ辺りにあるみてえだぞ!」


オジサンが指さしたのは、破壊されずに残った城の最上部。


やっぱりあそこか! よし行くぞ!


動こうとすると目が回ってヨロめいたけど、根性でグッとこらえて踏ん張る。


貧血なんかに負けていられるか!


――ボコッ!


足元の地面から突然、人の手が飛び出してきてギョッとした。


な、なにこれ!? ・・・あ、ひょっとしてさっき埋まった人たち!?


まさか自力で地中から脱出したの!? ・・・誰だか知らないけど、あんたえらい!


ところが、人の手はあちこちから次々ニョキニョキと生えて来た。


見ればその手は、半分腐りかけている。


あたしはまたまた嫌な予感を・・・いや、確信を感じて、後ずさった。


ちょっと・・・これって・・・。


――ボコッ! ボコボコボコーッ!


土を掻き分け、飛び出してきた集団を見てあたしは悲鳴を上げた。


「やっぱりゾンビーーー!」

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