タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「うわちゃー! 参った! コイツら地竜について来やがったかぁ!」


「ついて来・・・!? 来んなーーー!!」


なによおまえら、地竜のペットなの!?


ああぁ、もう! ホントにどんだけ生前、忠実な兵士だったのよあんたら!


もういいって! いいからそのまま、地中でじっくり発酵しててかまわないって!


「この調子だと、そのうち魔鳥も魔獣もどんどん出てくっぞぉ!」


オジサンがオデコをペンッと叩いて、天を仰いだ。


ゾンビたちは、ガレキから何とか逃れた城の人たちを襲い始めている。


元々このゾンビたちは、マスコール王国の兵士。


宿敵カメリア王国の人間を殺すことに、なんのためらいもないだろう。


この上さらに魔物まで!? 無理だ! 対処しきれない!


――クルクル・・・!


オジサンが大きなハンマーを取り出し、頭上で回転させて素早く振り下ろす。


広範囲のガレキが宙に勢いよく舞いあがって、狙いすましたようにゾンビたちに襲い掛かった。


「ガレキにゃ不足しねえ! おめえら、おらが相手だぁよ!」


「オジサン!」


「ここはおらが引き受けた! ねえちゃんは目ん玉探せや!」


ゾンビたちは次から次へと虫みたいに地中から湧いて来る。


オジサンひとりじゃ、とても防ぎきれない。でも・・・。


「早く行けぇーーー!」


目にもとまらぬ速さで、オジサンはハンマーを連打する。


「・・・・・・分かった!」


あたしは歯を食いしばり、振り切るように駆け出した。

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