タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「良かった! アザレア姫! 無事で良かった!」


「ス、スエルツ王子・・・?」


「良かった! 良かった良かった良かった良かっ・・・」


最後の方はもう、涙混じりで聞き取れない。


姫は目を白黒させて、黙って王子に抱きしめられている。


その頬はほんのり赤く染まっていた。


・・・うん、良かったね。これできっと想いは通じ合うはずだ。


ふたりとも、どうか末永くお幸せに・・・。


・・・・・・・・・・・・。


い、いけない! 勝手にハッピーエンドにしてる場合じゃなかった!


「姫! オルマさんはどこにいるの!?」


「オルマ? そ、そうですわ! オルマの姿がみえないのです!」


姫も我に返って、叫び返してきた。


「姿を消す前、わたくしにおかしな事を言ったのです! できるだけこの城から離れるように、と・・・」


「城から離れろ?」


「えぇ、何か嫌な予感がしました。そのうちにこんな事態に・・・」


やっぱりそうだ。オルマさんが秘宝を盗んだんだ。


それによって非常事態が起こることも予測していた。


だから姫に、ここから逃げるように勧めたんだ。


オルマさん、いったい何を考えているの?

彼女は何者?

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