タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「どういうことですの? オルマがどうかしたのですか?」


不安そうな姫に、あたしと王子はできるだけ簡潔に説明する。


秘宝は、大昔にマスコール王国のご先祖が、地竜から盗み取った目玉であること。


オルマさんがどうやら、そのマスコール王国の侍女だったらしいこと。


彼女が秘宝を手に入れたこと。


結果、怒った竜に今この国が襲われて、滅亡に瀕していること。


それらの説明を聞き終えて、姫は茫然として目と口を開けている。


到底、信じられないだろう。


ただひとり自分の味方だと信じきっていた人が、実は裏の顔があったなんて。


「そんな・・・あり得ませんわ」


首を横に振る姫の姿が、あの時のブランの姿と重なって・・・あたしの胸は痛んだ。


「でもたぶん、それが事実だと思うんだ」


「そんな・・・そんな・・・」


「オルマさんはマスコール王国の侍女だったんだよ。きっと」


「非常に惜しいが・・・それは少し違うな」


聞き覚えのある声に、あたし達は揃って振り向いた。


「セルディオ王子!」


そこに、セルディオ王子が立っていた。

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