タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「セルディオ! 良かった! お前も無事だったんだね!」


「兄上もご無事で。・・・本当に悪運がお強い方だ」


弟の無事を喜ぶスエルツ王子に対して、セルディオ王子は素っ気ない。


そうだ。この男・・・。


父や兄を敬い、国の為を思う、立派な王子だと思っていたけれど。


「あの女、油断ならないとは思っていたが・・・やはり裏切ったか」


忌々しそうに舌打ちする姿。


きっと今回の件に、この男も裏で絡んでいるはずだ。


今までずっと、こいつの思い通りに動かされてたけど、もう今のあたしには失う物なんて何もない。


あんたなんかもう怖くない! きっちり追及させてもらおうじゃないの!


「言いなさいよ! 知ってること全部!」


「オルマはマスコール王国の侍女ではない。姫だ」


・・・・・・・・・・・・!!


姫!? 

オルマさんがマスコール王国の、姫君!?


「うそ!?」


「本当だ。姫としての本名は知らぬが。あの女が今回の、全ての黒幕だ」


「く、黒幕?」


「私に話をもちかけてきたのさ。取引をしよう、とな」


取り引き? 全ての黒幕?


そのふたつの言葉がカギのように、たくさんの扉を開いていく。


思えば・・・

これまでの重要な件には、全部このふたりが係わっていなかったか?

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