タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
王とスエルツ王子の会話を偶然盗み聞いたアザレア姫は、王子の自分への気持ちに疑惑を抱いた。


その決定的な場面に、都合よく姫が居合わせた不自然さ。


オルマさんとセルディオ王子が、タイミング良くそう仕組んだんだ。


そして姫に、秘宝の話をしてそそのかした。


探索隊を非公式なものにする事は、セルディオ王子の進言だった。


正式で盛大な探索隊では、秘宝をくすねるのは難しいからだ。


あたしが隊に同行することになったのは、予想外の事態だったろうけれど。


それ以外のことは、全部ふたりが裏から糸を引いていたのか。


・・・ふつふつと腹の底が熱くなってくる。


いいようにあしらわれ、うまく操られた怒り。


こんの男ぉ・・・・・・。


「取引って、言ったね? あんたは彼女と何を取り引きしたの?」


「なに、私はただ、次期国王の座が欲しかっただけだよ」


・・・・・・・・・・・・!!


スエルツ王子が目を見開いた。


次期国王って・・・おい!?


だってそれは、あんたが自分から辞退したんでしょうが!?


「あんたは継承争いで国が荒れるのを防ぐために、自分から神職に・・・」


「誰がそんな事を言ったのだ?」


「は!? だ、誰がって、それは・・・!」

< 344 / 438 >

この作品をシェア

pagetop