タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
今の声は・・・・・・!?


「父上!? この声は父上の声だ!」


スエルツ王子が飛び上って叫んだ。


王さまの悲鳴!? 


まさかガレキに潰された!? いや、ひょっとして魔物が現れたんだろうか!?


「父上ーーー!!」

スエルツ王子が顔色を変えて、声が聞こえた方向に向かって走り出す。


あたしと姫も慌てて王子の後を追った。


もしも本当に魔物だったらどうしよう。


スエルツ王子の剣の腕前は、正直いってアテにならないし。


セルディオのヤツも自分の親とはいえ、人助けするような健全な精神の持ち主とは思えないし。


王さま! 魔物じゃなくて、せめてガレキに潰されてて!


そう祈りながら走っていると、不意にスエルツ王子の足が止まった。


あたしとアザレア姫も、前のめりになって立ち止まる。


そして・・・・・・目の前の光景に釘付けになった。


魔物ではなかった。

ガレキでもなかった。


でも、確かに王様は、腹から血をドクドク流して倒れていた。


そして、その隣に・・・・・・


オルマさんが血まみれの剣を握りしめ・・・立っていた。

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