タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
王さまの顔に驚愕の色が広がる。


それを見たオルマさんは、勝ち誇ったように愉悦に満ちた表情になった。


「そうです。わたくしがあの、姫ですよ・・・」


まるで母親が子供を教え諭すような、優しげな口調。


王さまは、なにも答えずにオルマさんを見上げている。


でもかなり動揺しているのがハッキリと分かった。


永遠の愛? この二人、恋人同士だったの?


でもカメリアとマスコールは、百年も戦争を続ける険悪な・・・


「ほう? ついに本懐を遂げたか? オルマよ」


背後から急に声が聞こえてきて、あたしの心臓は止まりそうに跳ねた。


いつの間にかセルディオが、あたし達の後ろにたたずんでいる。


そして血を流して倒れている父親とオルマさんを、微笑みながら見ていた。


「おめでとう。20年来の悲願の達成だな」


「いや・・・まだそれには早い」


「ふむ。父上の息の根が完全に止まらねば、満足はできんか」


平然と、セルディオとオルマさんが会話を交わしてる。


たまりかねたようにスエルツ王子が叫んだ。


「セルディオ! なに落ち着いてるの!? 父上が・・・!」


「父上父上と、いつまでも・・・。いい加減に親離れをなさってはいかがですか?」


「なに言ってるんだよぉ!」


「やれやれ。父上はね、兄上が尊敬しているような人物ではないのですよ」 

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