タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
戸惑うわたくしを王子は抱きしめ、大喜びでお腹の子を祝福してくれた。


『たとえ国を捨てても、どんな手段を用いても、私は姫と結婚します』


『あぁ、王子! もちろんわたくしも・・・!』


どんな手段を用いても。どんな犠牲を払っても。


わたくしは愛する者と結ばれたい。


愛はこの世で最も美しく、崇高で、価値あるものなのだから。


『両国の戦争さえ終わらせることができれば・・・。そうだ! 姫、『竜神王の目』です!』


『え?』


『あなたが私に教えてくださった、どんな願いも叶えられる、この国の秘宝ですよ!』


『秘宝の力で、戦争を終わらせると?』


『私たちの愛。授かった命。これは天啓です』


『そう・・・でしょう、か・・・』


『そうですとも! わたし達の愛だけが、百年にも渡る両国の苦しみを終わらせることができるのです!』


『わたくし達の愛が・・・?』


愛。

その言葉にわたくしは、盲目に酔いしれた・・・・・・。

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