タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
命の波動を感じる。

鼓動の音が今にも聞こえてきそうなほどだ。


よく見れば・・・わずかに脈打っているような。


さすがは秘宝。これは本物だ。


これならきっと、わたくしの願いも叶えられるはず!


迷い無くわたくしは秘宝を手に取り、部屋から飛び出した。


そしてそこに、愛する者の姿を見て思わず立ち止まる。


『まぁ、いつの間にいらしていたのですか!?』


『姫が本当に秘宝を手に入れられるかどうか、心配で』


『ご心配には及びません。ほら』


差し出す秘宝を見た愛する者の表情に、喜びがあふれる。


『さあ、急いでここを出ましょう。父王に見つかりでもしたら大変ですわ』


『そうですね。ここで見つかるわけにはいかない』


『こちらですわ』


そう言って、先導して数歩先に進んだ途端。


『・・・・・・!?』

背中に、不可思議な感触を感じた。


肩口から腰にかけて、上からの一直線。


なんとも表現しようのない感覚は一瞬後に、信じられない激痛に変わった。

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