タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
細い悲鳴を上げ、わたくしは倒れる。


床の硬さと冷たさが身に染みて、さらに苦痛が増した。


痛い! 痛い! 体の内側から噴き出すようにギリギリと痛む!


苦しむわたくしは愛する者に助けを求め、手を差し伸べる。

そして・・・


愛する者が赤く染まった剣を手に、わたくしを見下ろす姿を見た。


わけが・・・分からない。


これは、なんなのだろうか?


なぜ、こんなに冷たい目でわたくしを見ているのだろう?


なぜ助けてくれないのだろう?


ただ疑問ばかりが浮かぶ時間は、そう長くは続かなかった。


突如、凄まじい地震が起こり城が崩壊し始める。


驚く間も無く、わたくしが倒れている床が崩れた。


大穴が開いて落下する直前、とっさに床につかまり、両手でぶら下がった。


フラフラと支えの無い宙に揺らぐ両足が心底から頼りなく・・・心底から恐怖だった。


死ぬ。落ちて・・・死ぬ。


助けて。どうかわたくしを助けて。


お腹の子を・・・あなたの子を助けて!

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