タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「罪にも問わん。今後は密かに、どこかで静かに暮らせばいい」


「・・・・・・・・・・・・」


「だが秘宝は諦めろ。それが条件だ。姫の命も惜しかろう? さぁ・・・」


セルディオが目でオルマさんに催促した。


オルマさんは眉ひとつ動かさず、冷静にセルディオに答える。


「セルディオ王子、わたくしはかつて、手酷い仕打ちを受けたのだ」


「分かっている。だからお前に慈悲を与え・・・」


「だから・・・・・・」


オルマさんが、かすかに笑った。


「二度は、だまされぬ」


――ギャアアーーー!!


突然、セルディオの背後からゾンビが襲い掛かった。


肩に噛みつき、ブチリと肉を食いちぎる。


真っ赤な鮮血がブワッと噴き出した。


「うわあぁぁっ!?」


セルディオが悲鳴を上げて暴れた。


その勢いでアザレア姫は放り出され、床にドサリと倒れ込む。


「姫!」

あたしとスエルツ王子が姫を抱きかかえ、急いでその場から離れた。


次々とゾンビが現れ、セルディオに飛びかかった。


こいつら、ついにここまで侵入してきたのか・・・!

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