タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
気が済んだのか、ゾンビたちが次々と立ち上がる。


・・・・・・ああ・・・・・・。


そこに横たわっているものの姿をとても正視できず、あたしは目を背けた。


血にまみれたゾンビたちが、ユラユラとこちらに向かってくる。


まだ人を襲い足りないのか!

こいつら、次はあたしたちを襲う気なんだ!


スエルツ王子は、弟の無残な遺体を見ながら放心している。


アザレア姫は、そんな王子を力一杯抱きしめ続けている。


あたしは、ふたりを庇うように立ちあがった。


このまま殺されるわけにはいかない!


このふたりを、なんとしてでも守らなきゃ!


あたしはコブシを握りしめ、ゾンビたちを見据えた。


視線だけで2~3匹は倒せそうなくらい、思いっ切りギリギリと睨み付ける。


そうでもしないと怖くて気を失いそうだ。


心臓はバクバク跳ね上がり、緊張で息苦しい。


一気に上昇した体温のせいで、汗がダラダラ頭と背中を伝った。


煙を上げそうなほど激しく動く心臓を抑えつつ、あたしは大声で叫んだ。


「来るなら・・・・・・来い!」


でも、できれば来ないで欲しいけど!


ゾンビたちはゾロゾロ真っ直ぐあたしに向かって進んでくる。


・・・・・・やっぱり来るの!?

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