タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
目の前、あたしに向かい合うように、三匹のゾンビが。


腐った口を広げ、あたしに噛みつく直前だった。


ドロリとした顔の中、その歯だけが異様に白かった。


『間に合わない』


間に合わない、もう、間に合わない。


これがあたしの・・・この世の最後の思考?


この世で最後に見るものなの?


瞬きもせず、ゾンビの白い歯を凝視する。


ほんの一瞬、停止した思考が動いた。


白。白。白。


あぁ・・・・・・


目に涙がにじんだ。


涙と共に悲しみと、切なさと、たまらない温かさが心に広がる。


同じ白ならば・・・・・・


あたしが最後に見たい白は、あの・・・・・・


――ザンッ!


目の前のゾンビたちが、いきなり腰砕けるようにバタバタと倒れた。


「・・・・・・・・・・・・!?」


わけも分からず、あたしは床に倒れたゾンビたちを見る。


そして・・・視界に、白銀の具足が映った。


・・・・・・白銀の鎧?


あたしはソロソロと視線を上げていった。


体のラインにそった軽装鎧。


洗練された形の、動きやすそうな型。


鎧の白銀と、そして・・・それに共鳴するように輝く白い・・・・・・


「お前ら、腐りモンの分際で、オレの大事な嫁に手を出すんじゃねえ」


白い・・・・・・髪。


まぎれも無くそれは

あたしが見たいと望んだブランだった・・・・・・。

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