タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「・・・・・・来るぞぉ! 来ちまうぞぉ!」


「ああ、来る」


「だから、さっきからふたりとも来る来るって、何が来るの!?」


「世界の終わりが来るのだ」


その声の主に、皆の視線が集まった。


・・・・・・オルマさんに。


「地竜の怒りが世界の終わりを引き寄せる」


彼女は片手に真紅の玉を掲げていた。


あたしの目がその玉に引きつけられた。


あの玉・・・・・・あれはまさか!


「これが竜神王の目だ」


・・・・・・! やっぱりあれが秘宝!


燃えるように真っ赤な玉。あれは地竜の怒りと連動しているんだろうか?


内側から、何かの力がほとばしるようだ。


脈打つような不思議な輝きが揺らめいている。


それは状況を忘れて見惚れてしまうほど、神秘的に美しい。


「これぞまさに秘宝だ。だが・・・もう脆くなってしまっている」


脆くなっている? 竜の目が?


「あんまりにも長ぇ間、地竜から離されちまったからだあよ。ちょっとした衝撃で壊れちまうにちげえねぇよ」

「こ、壊れる!?」


オジサンの説明に、あたしは目を剥いた。


すごく嫌な予感がして、あたしはオルマさんに呼びかける。


「オ・・・オルマさん・・・?」

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