タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「待って!」「待てよ!」「待つだぁよ!」

皆が口々に叫んだ。


やめてオルマさん! お願いだからやめてー!


――ドオォォォ・・・ン!!


突然走った衝撃に、叫び声が悲鳴に変わった。


いきなり床が、壁が、天井が、全てが破壊された。


全員が猛烈な勢いで、それぞれの方向に吹き飛ばされる。


「ミアン!」

「ブラン!」


お互いに手を差し伸べたけれど、指先すらも触れ合うことは叶わなかった。


あたしはガラガラと落下する大きな破片に巻き込まれる。


落下して死ぬ? ガレキに押しつぶされて死ぬ?


ブラン、ブラン、ブラン・・・・・・!


恐怖と風圧と崩壊音の嵐。


数秒なのか数分なのか、狂った時間の間隔の中でただひたすら、翻弄された。


全身を襲う振動。痛み。


ガレキと粉塵の中に巨大な影が見える。


真っ赤に燃える、赤い光。あれは、地竜の影だ。


世界は・・・・・・終わるの?

ねぇブラン・・・・・・。


意識が途切れる。


地竜の気配と怒りを感じる。


薄れる意識で、ひたすらブランの事を思い続けた。


そして・・・・・・目の前がすうっと暗くなっていった。

< 381 / 438 >

この作品をシェア

pagetop