タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

・・・・・・・・・・・・。


ぼんやりとした意識で、あたしは何度か瞬きをした。


う・・・あたし・・・気を失っていた?


気付けば薄暗い空間の中で、体がクルンと丸まっている。


どうやら、ガレキのすき間にうまく挟まる形になって落ちたらしい。


それで潰されずに済んだんだ。


体を動かすとあちこちが痛んだ。


打ったのか切ったのか捻ったのか、とにかくケガの箇所が多すぎて見当もつかない。


それでも、生きているんだからあたしは幸運だ。


幸い体の周りには動けるすき間がある。


動くたびに感じる痛みに、いちいち悲鳴を上げながらもなんとか脱出できた。


そしてガレキの中から抜け出したあたしは、目の前の光景に驚愕する。


城はほぼ全壊だった。


あの大きくて頑丈そうだったお城が・・・・・・。


残っていた部分も、地竜によってあっけなく崩壊させられてしまったんだ。


どれだけの数の人間や魔物が巻き込まれただろう。


周りはどんよりと曇っている。


粉塵のせいなのか、地竜の発する負の感情のせいなのか。


その変わり果て濁った空気の中で・・・・・・ブランが地竜と対峙していた。

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