タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「お前が来てどうなるんだって点を、考えてくれ頼むから!」


切実な声でそう訴えられて、あたしはぐっと詰まってしまった。


あたしがここでしゃしゃり出たら、余計にブランの負担になる。


それはよく分かるんだけど・・・・・・


でもこのまま見ているだけなんて嫌だ!


焦るあたしの目の前で、ブランは剣を構え地竜に突っ込む。


地竜は巨大な口で容赦なくブランを飲み込もうとした。


俊敏な動きでブランは見事に避け、地竜の濁った牙が地面を大量にえぐり取る。


黒く染まったウロコに、ブランの剣が振り下ろされた。


するといきなり切り口から、どす黒い液体が噴き出した。


・・・・・・なにあれ!?


前にあの剣を使った時は、傷なんか全然つかなかった。


静かに地竜の力を吸い取るだけだったのに。


地竜が、もう純粋な地竜ではなくなってしまったから!?


そんな! あのまま攻撃を続けたら地竜を倒してしまう!


そしたら大地が死んでしまう!


同じことを考えたのか、ブランの攻撃の手が止まってしまった。


ひたすら逃げ回るばかりだ。


地竜からの邪気にあてられ、どんどん鎧が黒く染まっていく。


あたしはハラハラするばかりだ。


ど・・・どうしたらいいの!?

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