タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あたしは全力で肺から息を吐き出し、否定した。


思いっきり、今にも転びそうになるほどブンブン首を横に振る。


違う違う違う違うー!!

それは絶対に、違う!!


愛は・・・・・・


「愛は、救うものなんだ!!」


オルマさんの言うことも、確かに全部事実だ。


あたしも苦しんだ。


悩んで、傷付いて、泣いて、泣いて、泣いて・・・


いっそこのまま死んでしまえたらとまで、思った。


全てを幻だと思った時もある。


何もかもが陽炎のような、儚い幻覚に思えた時もある。


でも・・・・・・違ったんだ!


「あったんだ! あるんだよ! ここに!!」


あたしは自分の胸をバンバンと思い切り叩いた。


涙がボタボタ落ちた。

泣きながら、全身全霊で叫んだ。


たくさんのタヌキたちに囲まれた結婚式も!


白く柔らかな温もりも!


願いを込めて眺めた山の夕日も!


仲間だと言ってくれた言葉も!


今でも彼らを仲間だと思う気持ちも!


おタヌキ王との最後の別れも!


全部残らず、ここにある!


それらの全てに救われて、あたしはここに導かれた!


愛は、世界を滅ぼすものじゃない!

愛は・・・・・・


「世界の全てを救うものなんだ!!!」

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