タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
ノドが裂けるほどに全力で叫んだ。


あたしの全部の思いを込めて絶叫した。


そして・・・・・・周囲は静まり返る。


オルマさんが発作のように全身を震わせ、泣き続けている。


彼女は今、苦しんでいる。


事実と真実の狭間で、心が真っ二つに引き裂かれている。


どちらも、偽りのない感情なのだから


どちらを捨て去るにも、それは、どうしようもなく辛いのだろう。


でもオルマさん、どうか気付いて。

そして選んで。


あなたの中にある真実を、どうか・・・どうか!!


「・・・エル・・・ツ・・・」


張りつめた緊張の糸を切るように、ゲホゲホと咳き込む音がした。

ガラガラと掠れた声。


「ス・・・エルツ・・・」

「ち、父上!?」


ガレキに挟まれた王が、瀕死の声を出していた。


あの強く輝いていた目の光は失せ、皮膚は青ざめ、死人とほとんど大差ない。


ヒクヒクと、色の変わった舌が動くのが見えた。


「なにを・・・している・・・」

「父上! 今すぐお助けしま・・・!」

「早く・・・この女を・・・・・・殺せ!」


・・・・・・・・・・・・!

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