タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
足から力が抜け、あたしはドサリとその場に崩れ落ちる。


王子がダラリと腕を下げ、目と口をポカンと開けて立ちすくんでいる。


(うそ・・・だ・・・)


脱力と放心。


終わってしまった。あたしは止めることができなかった。


受け入れられない。こんなのとても無理だ。


ただただ、ひたすらに・・・この結末が信じられなかった。


突然、空一面に恐ろしい咆哮が鳴り響く。


これは、きっと地竜の咆哮。


秘宝の消滅を感じ取り、猛り狂っているんだ。


もうダメだ。もう、地竜の暴走を止める手立ては、無い。


大地は汚染され、死に絶えて、世界の全ては滅びるんだ。


地竜の荒ぶる声を聞き、あたしはフラフラ立ち上がる。


ブラン・・・ブラン・・・。


「-------!!」


その時、絹を裂くような悲鳴が聞こえてスエルツ王子が飛び上る。

「アザレア姫!?」


そうだ。この悲鳴は・・・確かに姫の声だ!


何度も何度も聞こえる悲鳴。姫の身に何かが起きている。


助けを求めているんだ!


「姫ーーーーー!!」

王子が飛ぶように駆け出す。


あたしも夢中で駆けだした。


姫! どうしたの!? どこにいるのー!?


< 398 / 438 >

この作品をシェア

pagetop