タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あたしは、孤児だ。


赤ん坊だったあたしは、修道院の前に捨てられていたらしい。


となれば捨て子のたどる運命なんて、ひとつだけ。


修道院から引き取られた先での奴隷生活。


嫌もへったくれもありゃしない。


別にね、それに対して不平不満があるわけじゃないの。


こーんなの、どこにでもある話だし。


それにこちとら、生まれた時から奴隷身分。年季が違うよ。


いってみりゃプロ。奴隷のプロフェッショナル。


仮にもし今更、「別の人生を与えよう。さあ好きな所へ行け」とか言われても。


逆にどーすりゃいいのやら。頼る人なんかどこにもいないしさ。


そんな事態になっても、困るだけなのよ。


まあそんな事態は現実的に、絶対に起こらないだろうけど。


このまま生涯奴隷として生きて、死んでいくだけ。


これも運命なのよ。諦めるしかないの。

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