タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「グギャアァァ!」

ゾンビが起き上がり、接近したあたしに襲い掛かろうとする。


それと同時にあたしは素早く腰をひねり、反動をつけて全力で右拳を振り下ろす。


――ドッゴォッ!


決死の一撃は狙いたがわず、ゾンビの顔面にめり込んだ。


ゾンビはそのまま仰向けに引っくり返る。


すかさず王子が近くの大きなガレキを拾い上げ、それで間髪おかずに殴りつけた。


当然、あたしも一緒になってガンッガン殴りつける。


すぐにゾンビは動かなくなり、あたしと王子は大きく息を吐いて胸を撫でおろした。

よ・・・良かった・・・。


「姫、無事で良かっ・・・」


ふり向いたあたし達の表情が凍った。

安心したように微笑んでいる姫の背後。


そこに・・・いつの間にか、もう一体のゾンビが!!


「姫えぇぇぇーーー!!」


王子が強張った顔で姫に手を差し伸べる。

姫が後ろを振り返った。


もうゾンビはすぐ後ろ。・・・・・・逃げられない! 間に合わない!


「ああぁ! 姫ーーー!!」


悲鳴をほとばしらせるあたしの目の前で、いきなりゾンビがビクンと身を反り返した。


「うわあ! うああーーー!!」


この声・・・オルマさん!?


「姫から離れろ! この、魔物め!」

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